甘い旋律で狂わせて
――そうだ

今、あたしのそばにはネオがいる。


先生のことはもう忘れて、ネオのことだけ考えればいい。



だけど……


まだ、先生のことを考えるだけで胸が痛むのが、正直なところ。



乗り越えるためには、やっぱりちゃんと先生にお別れを言いに行くべきなんだろうか……。



「ねえ、ネオ」


あたしはネオの胸に顔をうずめながら、静かに話し始めた。



「あたしね、ずっと好きな人がいたの。何年もずっと好きだったの。でも、気持ちを確かめる前に、彼はもう二度と会えないくらい遠くに行っちゃったの」


話しながら、先生の顔を思い浮かべていた。


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