甘い旋律で狂わせて
あたしはもう一度聞き返した。


「4人じゃないんですか?」



すると、薫さんは「ああ」と手に持っていたティーカップを置き、立ち上がった。



「永都から聞いてないんだね」



ゴソゴソとリビングの片隅にある棚に手を入れ、薫さんは何かを探し始めた。



「私たち、3人兄弟なのよ。……あ、あったわ。」



薫さんはそう言いながら戻ってきて、あたしに一枚の写真を手渡した。

< 374 / 593 >

この作品をシェア

pagetop