甘い旋律で狂わせて
「ピアノを弾くなら、趣味程度でいいじゃない。ピアニストにならなくたって、栄光を掴めなくたって、別にいいじゃない。……母はそう諭した。ネオの命を削るような練習に、怖くなったんだと思うわ」
こんな練習を続けていたら、いつ倒れるかわからない。
きっと命を縮めることになるだろうと、それを母親は心配していた。
「だけどあの頃から……今だってずっと、ネオにとってはピアノが全てなのよ。そんなふうに言う母の気持ちを察する余裕など、どこにもなかった」
――そのころからだった。
ネオと母親との関係に、少しずつ亀裂が走っていったのは……。
こんな練習を続けていたら、いつ倒れるかわからない。
きっと命を縮めることになるだろうと、それを母親は心配していた。
「だけどあの頃から……今だってずっと、ネオにとってはピアノが全てなのよ。そんなふうに言う母の気持ちを察する余裕など、どこにもなかった」
――そのころからだった。
ネオと母親との関係に、少しずつ亀裂が走っていったのは……。