甘い旋律で狂わせて
母親は半ば強制的に、ネオにピアノをやめさせた。


ネオは、そんな母親の決断を許せなかったのかもしれない。


ネオはその頃を境に、まるで人が変わってしまった。



「昔から心優しくて、穏やかな子だったネオが、その頃から母に反発するようになったの」



ネオは光溢れた場所を、極端に嫌うようになった。


人が集まる場所も嫌がり、栄光も輝きも、すべてを嫌悪するようになった。



「高校にあがるころには、夜にバーでピアノを弾いたりね。家に帰らない日が続いたり。母にどんなに反対されても、聞かなかった」



余計に無茶をするネオを、母親は心配ばかりしていた。



母親はもう、


体も、心も、


疲れ果てていた……。

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