甘い旋律で狂わせて
「あんた、バカねぇ。相手は男だよ?初対面の女にこれ渡すってことは、聴きに来てって頼んでるってことよ」


遥はそう言って、カードをあたしの手に持たせた。


「ねぇ、花音。今夜行ってみようか」


そう言ってわくわくした表情を見せる遥。


だけど、あたしは静かに首を横に振った。



「今夜は悠貴と会うんだ」


「なぁんだ、残念!じゃあ、明日は?」


いっこうに諦める様子のない遥に、あたしは半ば強制的にウンと頷くしかなかった。


「じゃあ、明日なら」


苦笑いを浮かべるあたしに、遥はすかさず言う。



「やった!じゃあ、悠貴さんには内緒ね。男に会いにいくんじゃ、悠貴さんも怒るだろうから」


いたずらな笑みを浮かべる遥に、あたしは苦笑した。




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