甘い旋律で狂わせて


「出ていけ」



頭上からふいに響いた、掠れたような低い声に

あたしはハッと現実に呼び戻された。





上を見上げれば、そこには



色を失くしたような、冷え切った瞳で


どこか一点をぼうっと見つめるネオがいる。




「……ネオ?」


ネオの瞳は、あたしを映してなどいなかった。
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