甘い旋律で狂わせて
目の前にいるあたしさえ通り越して、どこか遠くを見つめるその瞳は

入り込むわずかな隙さえもないように感じた。




固くなったその表情に、指先が冷えていく。



「出ていけ!」



そしてその唇から発せられた怒涛の言葉の波が


あたしたちの心をギリギリに繋いでいた何かを、すべて壊していく――……

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