甘い旋律で狂わせて
「最初からそうだったんだろう!?おまえは僕を見てなどいなかったんだろう!?
みんなそうだった。僕を見ながら、その目はいつもアイツを見ていた!誰ひとりとして、僕自身を見てくれた人などいなかった!」



………ひとつ



「そんなふうに僕を見るな!哀れな目で僕を見るな!愛されていたのはいつもアイツだった!必要とされていたのはいつもアイツだった!
同じ才能を持った人間なんて…同じ顔をした人間なんて、この世に二人もいらなかったんだ…!どうして僕が生まれた!?どうして僕が生き残った!?」



………ひとつ



「みんな、思ってるんだ。生きるべきだったのは僕ではなく、アイツのほうだったって!そうなんだろう?僕が死んだほうがよかったんだろう!?
アイツが生きてくれていたら、こんなに苦しまずにすんだ。アイツじゃなく僕が死ねば、こんなに苦しまずにすんだ!母さんは壊れずにすんだ!」



零れおちた雫は、ネオの白い頬を濡らす。

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