甘い旋律で狂わせて
あの人と同じ声で

嘆くようなネオの声が、痛いほどにこの部屋に響き


それは豪雨のように、あまりに激しく、哀しく


耳を塞いでしまいたくなった。




指先から全身へと

冷たいものが伝っていく。



――恐怖、だった。




恐怖が、あたしの体を震わせた。


それは他でもなく、あたしの行動がネオを壊してしまったという、恐怖。



壊れてしまったネオを、どうしていいかさえもわからず


言葉ひとつさえ出てこなかった。

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