甘い旋律で狂わせて
***

『花音』


甘く優しい声が、耳に響く。



『花が咲いていくように、重なっていく旋律が……おまえのイメージにあってるから。』



そう言って、あたしの額にキスをした、あなたの言葉が頭から離れない。


何度も何度も、頭の中をこだまして、胸をしめつける切ない思い出とともに全身を巡る。



そして、あの細く長い、綺麗な指の感触を蘇らせるかのように


自分の指で、唇をなぞる……。
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