甘い旋律で狂わせて
「永都先生……」



ベッドの上に横たわり、ただぼうっと

戻らない時間を想った。




ドクン、ドクン…と

響いていた優しい鼓動が、今もまだこの手の感触に残っているようだった。




一定のリズムで刻まれるあの音が、あたしの心の殻を破った。



心の奥底に秘めた、忘れられないあの想いを


静かに呼び起こした。

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