甘い旋律で狂わせて
ネオだ……!


「花音、あの人のこと?」


あたしの肩に手を置き、聞いてくる遥。


あたしは遥に短く頷くものの、構わず視線をずっとネオに向けていた。



白いシャツの袖をめくり上げながら、ゆっくりとネオは椅子に腰かけた。


照明に照らされるその姿に、思わずゴクリと息を飲む。



見つめれば見つめるほどに、胸がいっぱいになる。


ネオの身のこなしひとつひとつに、先生を重ねずにはいられない。




あたしはその姿に釘付けになったように、グラスを置いて体をネオの方に向けた。

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