甘い旋律で狂わせて
「僕はキミを騙していた。永都が最後に愛した女だから、奪って永遠に僕のモノにしてやろうと思っていた。それなのに、キミが僕を見つめるたびに切ない。キミが僕を求めるたびに苦しい。

キミが僕を通して、今でも永都を想っているんだと思うと、それがたまらなく悲しかった」



ネオは少しずつあたしに近づき、戸惑いながらそっとあたしの頬に手を添えた。



「僕はどうしたら、愛してもらえるんだろう。僕だけを見つめてもらえるんだろう。永都の代わりではなく、僕という存在を……認めてもらえるんだろう?」



ひんやりとした、ネオの指先の温度を感じたその瞬間……。



あたしを見つめる二つの瞳から、一気に涙が溢れだした。


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