甘い旋律で狂わせて
「花音…。僕はずっともうすぐ死ぬんだと思って、生きてきた」


「うん」


「今だって、永都の心臓がなければ、僕は生きてなどいないんだ」


「……そうだね」


「僕の命は、永都によって繋がれてる」




ネオはあたしの胸に顔をうずめ、掠れた声で言葉を紡いだ。


そしてあたしの顔を見上げ、長い前髪から濡れた瞳をのぞかせた。



「今も永都の心臓を借りながら、毎日欠かさず飲む大量の薬で、命を繋いでいる。そうしなければ、生きてはいけない命だ」


< 573 / 593 >

この作品をシェア

pagetop