甘い旋律で狂わせて
ネオの命は、きっとあたしよりもずっと短い。

移植をしたからといって、健康な人と同じくらい生きられるわけではない。


その残酷な事実を胸に、ネオは生きている。


ずっと、ずっと、今日も恐怖を抱えながら、ひとりで生きているんだ。



「もしもキミが僕を愛してくれているならば、なおさらキミに二度も悲しい想いをさせたくない」


ネオはそう言って、瞳を伏せながらあたしの体をギュッと抱きしめた。



ドクン、ドクン……と

胸と胸が合わさり、伝わってくる心音。


ネオの言葉が、悲しく耳に響く。


あなたがどんな言葉を吐こうとも、あたしはわかるんだ。



『そばにいてほしい』と、あなたの心の声があたしには聞こえるんだ。


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