甘い旋律で狂わせて
ネオの顔が

涙に濡れたその顔が


少しだけ柔らかく

綻んだ気がした。



「花音」




優しいその声が


あたしを狂わせたあの日のように、耳を擽る。




「花音、愛してる」




ネオのその声に

鼻にかかったその声に


こんなにも優しさを感じたのは初めてだった。



狂おしいほどに愛を求めていたあなたが、とても優しい笑みを見せた気がしたんだ。

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