甘い旋律で狂わせて
「ねえ、ネオ」


「ん?」


「今日のコンサート、お母さんが来てたみたいだったよ」



気づかうように遠慮がちに言うと


ネオは、「ああ」と頷きながら瞳を伏せた。



「知ってるよ。っていうか、さっき会ったんだ。姉さんが、連れてきてたから」


「えっ!?」



思わず、声を上げてしまった。



そして恐る恐る、ネオの顔を見上げる。



「そ、それで……?」


不安げなあたしを安心させるように、フッと小さく笑いながら、ネオはあたしの頭にポンと手を置いた。

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