甘い旋律で狂わせて
「大切にしたいんだ。たった一人の母親だから。永都がくれた命だから、大切に生きていきたいと思う」
ネオは呟くようにそう言って
そっと、あたしの手をとった。
「いつ死ぬかわからない。いつ誰かを失うかわからない。だけど生きていくしかないならば、僕は優しく生きていきたい」
ネオの眼差しは、とても柔らかで
そして、優しかった。
ギュッと手を握り合い
そして、少しだけ葉の色づく並木道を
二人、ゆっくりと歩き出した。
「花音。一緒に歩いて行こう」
歩幅を合わせて
手と手を握って
もう、離れることのないように
二人並んで、歩き出す。