甘い旋律で狂わせて
昨日の優しい顔とは、まるで別人だった。


怖い……。


そう感じたのは確かなのに。



柔らかそうな髪をかきあげて、あたしを見下ろすその表情はあまりに美しく

色気さえ、感じてしまう……。



「ど、して……キスなんて……」


「かわいいから。それ以外に理由はないけど?」



サラリと言ってのけるネオに、思わず赤面してしまった。



ああ、ネオはきっと軽い男なんだ。



こんなに綺麗な顔をしてるんだから、そうだよね。


きっと寄ってくる女なんていくらでもいる。



こんなキス、深い理由なんてないんだよね。


子供じゃ、あるまいし……。


深く考えた自分が、バカみたいだ。

< 80 / 593 >

この作品をシェア

pagetop