秘蜜の恋人。~先生×生徒~


……静かだなぁ。

いつもは騒がしい廊下が物音ひとつしないほど静まりかえっていると、まるで世界でひとりぼっちになったような錯覚に陥る。


そう、あの時のあたしのように。



小さい頃、あたしは泣いてばかりだった。
いじめられていたわけじゃない。
あたしの涙の原因はいつも、家庭にあった。




あたしのお母さんとお父さんは、あたしが5歳の時からずっと別居していたのだが、お母さんは小学生のあたしに毎日、お父さんの悪口を吹き込んだ。

「美羽のお父さんは最低なのよ。お母さんを騙してお金を取り上げて、自分は他の女の人と遊んでるのよ」

「あんな男と結婚するんじゃなかった」

「あんな男、死ねばいいのに」

当時のあたしには、お母さんの言っている意味がよくわからなかったけれど。

お母さんは、お父さんが大嫌いたなんだ、っていうのははっきりとわかった。



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