秘蜜の恋人。~先生×生徒~

よく見ると、右足首が赤くなっている。

「…ったー…」

転んだ時に、思い切りひねったみたいだ。
ズキズキと痛む足首を手で押さえる。

「ひねった?」

「たぶん」

「痛い?」

「めちゃくちゃ痛いです」

百合が心配そうな顔で足首を見て、「保険室行った方がいいよ」と勧めてくれた。

集まってきた相手チームの子も、

「そうだよ、行ってきな」

「ねんざだったらヤバいし」

と言ってくれた。

ここで我慢しても、後でもっと痛くなりそう。

「うん…ちょっと行ってくる」

百合の手を借りて立ち上がる。

体育館を出ていくとき、後ろの方で女子たちの声が聞こえた。

「美羽、いいなー」

という羨ましそうな声。

…いいなーって…人がケガしてるのに、「いいな」はないでしょ。


この時のあたしは、みんなの言葉の意味をまだ、理解していなかった。



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