桜桃花
ぱちり、目を開けた少女は驚いた。
てっきり、自分は死ぬんだ、と思っていた。
(ここ、どこ?
あたし、生きてる?
江戸の家とは違うし……
試衛館でもないよね………?
あっ、京に来たんだった。)
約数十秒考えてから起き上がり
きょろきょろとまわりを見回した。
こざっぱりした綺麗な部屋だ。
殺風景ともいうが。
(この部屋…
あたしが知ってるにおいがするよーな……
あったかいおひさまみたいな安心するにおい……。)
うーむ、と腕をくみ考えていると、人の気配がしてすっとふすまが開いた。
「あぁ、良かった!起きたんですね!!」
同い年くらいのなぜか男装している少女と、端整な顔立ちの大人というよりは少年が入ってきた。
驚きあわてて、部屋のすみへ移動する。