桜桃花



ぱちり、目を開けた少女は驚いた。

てっきり、自分は死ぬんだ、と思っていた。





(ここ、どこ?

あたし、生きてる?


江戸の家とは違うし……

試衛館でもないよね………?





あっ、京に来たんだった。)




約数十秒考えてから起き上がり
きょろきょろとまわりを見回した。


こざっぱりした綺麗な部屋だ。
殺風景ともいうが。


(この部屋…

あたしが知ってるにおいがするよーな……

あったかいおひさまみたいな安心するにおい……。)


うーむ、と腕をくみ考えていると、人の気配がしてすっとふすまが開いた。


「あぁ、良かった!起きたんですね!!」


同い年くらいのなぜか男装している少女と、端整な顔立ちの大人というよりは少年が入ってきた。

驚きあわてて、部屋のすみへ移動する。
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop