だって、こんなにも君が好きだから。
私は、貴様などに構っている暇などないのだ。
一番を取らねばならない。
私は常に一番でなければならない。
だから、今度こそ日本一にならねばいけないんだ。
平良木 龍、貴様に邪魔されている場合などではない。
貴様などに、邪魔などさせん…――――!!
ドォン!
振り絞った矢は、微かに中心を外れた。
「紫乃さまっお疲れ様です。これ、どうぞ。」
「ああ、すまないな。ありがたくいただく。」
女子部員から渡された差し入れをありがたく受けとる。
手作りの、カップケーキだった。
素直に嬉しかったからにこりと微笑みかけて、礼の代わりに頭を撫でてやると周りから歓声が上がった。
これもいつものことなので気にしない。
立ち去った後ろからは、女子たちのいいなぁとか、あたしもされたーいとかなどと声が聞こえていた。