だって、こんなにも君が好きだから。





見ているだけで腹が立つ程にな、というと彼女はまた可笑しそうに笑った。




「何が可笑しいんだ?」




「あ、いえ。ごめんなさい。平良木くんだけじゃなくて、紫乃さまも、ですよ。」




「はぁ?」





「紫乃さま、私たちが応援しても気付かないくらい集中してらっしゃるのに、平良木くんの時はすぐ気付かれるじゃないですか。」




いや、あれはあいつの声が特別うるさいから…。





「それに、平良木くんと喋っている時の紫乃さまは生き生きとしてらっしゃいますよ。」





「…馬鹿馬鹿しい。」





そう吐き捨てて、再び弓を絞ると後ろで彼女はまた可笑しそうに笑った気がした。





矢はまた、中心から大きく外れてしまった。







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