みだりな逢瀬-お仕事の刹那-


「ボスじゃない」


「……ええ、Rafe(レイフ)。如何なさいました?」


ブロンドの髪色に澄んだグリーンの瞳を持つ男は、今日もアルマーニのスーツがよく似合っている。


この容姿で人懐こいとくるからムダに女を引っ掛けてくる迷惑な存在でもあるのだが、それはどうでも良い話か。



「いつになったらデートしてくれるの?」

「するわけありません、と何度言えばお分かり頂けますか?」

「1年も誘ってるのに」

「他の女性なら瞬殺ですから、どうぞ遠慮なく他をあたって下さいませ」

「アカネの態度がそそるんだ」

「今夜NYとのテレビ会議用の資料を作成途中ですので」


予想していたものの、今日もまた無意味なやり取りをする羽目になるとは……。


はぁと遠慮なく溜め息を吐き出すと、誰もが羨むような男にあっさり背を向ける。


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