みだりな逢瀬-お仕事の刹那-
大きな手で腰をグッと掴まれ、始めから容赦ない動きが身体を上下に揺する。嬌声を上げるだけの私は、…酸素吸入を希望したい。
「朱祢のナカは全部、俺が埋めとく」
「ひっ、…やぁ、んん」
「これじゃあ足りない?そっか、」
抑えられない熱と快感で身が侵される中。緩急をつけた絶妙な動きで弄る男がまたそれを押し上げる。
チュッと軽いキスを落とされ、ふと目が合った瞬間。いつもの嘘っぱちな笑みを捉えた筈なのに。
淫靡な粘着音を敢えて響かせるように、幾度となく突き上げる社長が悪魔に思えてしまった…。
* * *
深い溜め息を吐き出せたのは、ようやく満足した社長がシャワーを浴びているお陰。
だだっ広いベッドの中心に突っ伏した状態である私は、室内に蔓延する特有の匂いに包まれていた。
ただ社長が処置をしてくれたため、…アトの不快感が薄いことは僅かな救いに思いたい。
それでも早く、彼に抱かれた身を清めるべきだ――カーテンから覗く日差しを眺めれば、時間の経過の早さも恐ろしいわ。
「朱祢もシャワー浴びたら?」
思考も上手く働かない中で暫くして、晒したままの背中へと届いた声。
それはスポーツを終えた直後に感じたほど、疲弊する私とは対照的で爽やかなものであった。