みだりな逢瀬-お仕事の刹那-
シーツを手繰り寄せて胸元を覆い隠し、その声の方へ向けば嘘っぱちな笑みを浮かべる男と対面。
「今さらでしょ?」
「放っておいて下さい」
恥ずかしがる年齢じゃないけど、クスクス楽しげに笑われるのはひどく不愉快なもの。
アナタが常日頃お相手する、積極的でセクシーな女性と違って。これがフツーを絵に描いた女の態度だ。
「ではバスルームお借りしますので、」
すっかりリネンの糊を失ったシーツを引っ張ると、それを身体に巻きつけながら言ってのけた。
「バスローブ出そうか?」
「結構です!」
収められないイライラが声色に現れていたが、気にしたものかと素足でベッドを下りる。
そして立ってみれば、自分の身体がそうとは思えないほど。尋常じゃない気だるさと腰の痛みを感じた。
昨夜のセックスは泥酔によりカウント不能。それでいて今朝も2ラウンド完了とか、…本気であり得ない。
「ひとりで大丈夫?」
「ええ、お手を煩わせません」
「確かに。それだけ話せたら大丈夫か、」
顔を顰めた私の変化に、ニヤリ笑みを浮かべた挙句。目ざとく尋ねて来た社長のほどこしなんて誰が受けるか――