みだりな逢瀬-お仕事の刹那-
お店を訪れてからわずか15分――メガネショップの袋を提げ、店員さんに見送られる私がいた。
なければ絶対に困る物、をようやく手に入れた途端。昨晩から殆ど食べていなかったお腹がきゅーっと鳴る。
ゲンキンなお腹を押さえて笑うと、デパート内のレストラン街へ向かって食事をすることにした。
平日のうえ今は14時近く。人もまばらな中を色々と見て回り、足が止まったのは洋食屋さん。
迷うことなく注文したのは、デミグラスソースがかけられた定番のハンバーグ。
真っ白なお皿の上で大きなハンバーグとソースが際立ち、その片隅ではニンジンなどのグラッセが彩りを添えている。
ナイフを入れただけで肉汁溢れるそれは、口に運ぶとお肉のジューシーさとソースの濃厚さが絶妙にマッチ。
疲れた時はお肉を連想するほど大好きな私。ぐったり感もすぐに癒えて、幸せに包まれていく。
ちなみにセットのサラダとフランスパンも美味しく、苛々もすっかり忘れて食事に夢中。
食後にはお砂糖少々のコーヒーでホッと一息つくと、胃も心も満足で会計を終えて店を出た。
エスカレーターに乗りながら、帰りにデパ地下でスイーツと生ハムをゲットして、それをアテに白ワインを飲もうと思い立つ。
となれば、エスカレーターで向かうは下の階。お洋服もチェックしたかったけど、それは正規の休日で楽しむか。
好きな物を食べてお気に入りの入浴剤でバスタイムを終えたら、早く寝てしまおう。
メガネを取り返すのが目下の目標だもの――イチイチ考えたって明日は訪れる。…あの男に負けられない。