前世からのメッセージ【迷信ナあれこれ】
嫌いな物は嫌い!
ガタンという大きな椅子の倒れる音と共に「うわっ」という間抜けな声が教室中に響いた。
数学教師は呆れたように、教室の一番後ろまで逃げている生徒を見て溜め息を吐く。
倒れた椅子のある机の横には小さな一匹の蜘蛛がいる。
「大橋、そこの蜘蛛を外に捨ててやれ」
大橋と呼ばれた男子生徒は素手で軽く蜘蛛を掴むと、ぽいと窓から外に投げ出す。
「小岩井。もうお前の天敵は居なくなったぞ」
大橋も呆れた様な口調と共に、ひらひらと手を振る。小岩井と呼ばれ、教室の隅に逃げている生徒は顔を引きつらせ、泣きそうな声で
「大橋と先生にお願い。大橋、手、洗ってきて……」
と言った。
その声の間抜けさから、クラス中はドッと笑いに包まれる。大橋はやれやれというように前の扉から出て行って、教室の前の水道で食品を扱う業者の様に徹底的に手を洗う。
小岩井は遠巻きにその様子を見ていた。アルコール消毒まで済ませた大橋は小岩井に向けてパッと手を見せる。ジッとその手をみた小岩井は大きく頷き「いつも、ありがとうございます!」と叫んだ。
数学教師は呆れたように、教室の一番後ろまで逃げている生徒を見て溜め息を吐く。
倒れた椅子のある机の横には小さな一匹の蜘蛛がいる。
「大橋、そこの蜘蛛を外に捨ててやれ」
大橋と呼ばれた男子生徒は素手で軽く蜘蛛を掴むと、ぽいと窓から外に投げ出す。
「小岩井。もうお前の天敵は居なくなったぞ」
大橋も呆れた様な口調と共に、ひらひらと手を振る。小岩井と呼ばれ、教室の隅に逃げている生徒は顔を引きつらせ、泣きそうな声で
「大橋と先生にお願い。大橋、手、洗ってきて……」
と言った。
その声の間抜けさから、クラス中はドッと笑いに包まれる。大橋はやれやれというように前の扉から出て行って、教室の前の水道で食品を扱う業者の様に徹底的に手を洗う。
小岩井は遠巻きにその様子を見ていた。アルコール消毒まで済ませた大橋は小岩井に向けてパッと手を見せる。ジッとその手をみた小岩井は大きく頷き「いつも、ありがとうございます!」と叫んだ。
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