前世からのメッセージ【迷信ナあれこれ】

　――昼休みになり、小岩井と大橋は机を向かい合わせて、弁当を広げる。
　すると二人の机に、思いっ切り一人の少年が机をぶつけてきた。
　「今日は小池も一緒に昼飯食べるのか？」
　良くいえば落ち着いた、悪くいえば若々しくない口調で大橋が声を掛けると、小池と呼ばれた少年は大きく頷く。
　「今日の僕は大ちゃんと、小ちゃんと食べるのだ！」
　小池は元気にそういうと、机の上に大量の菓子パンをぶちまけた。
　全員が黙々と腹を満たしている中始めに口を開いたのは小池だ。
　「そういえば、今日のも随分小さかったよね。最小サイズ更新？」
　小池は手で蜘蛛の真似をして見せた。
　「食事中に嫌な話をするなよな」
　小岩井は眉間に皺を寄せて、不愉快オーラ起動。
　「小岩井の蜘蛛嫌いは半端ないからな～」
　大橋は言葉と共に箸でぐるぐると空をかき混ぜる。
　「理由は分からないけど兎に角嫌いなんだよ。というか得体の知れない恐怖を感じるんだ。小さい頃からさ」
　小岩井はぶっきらぼうに言うと、ぷいっとそっぽを向いた。
　「小さい頃ってさ、どのくらい小さい頃から嫌いなの？」
　菓子パンを口にくわえたまま、小池は小岩井の頬をぷにぷにと突く。
　「俺が知り合った頃にはもう嫌いだったよな？だから幼稚園の時にはもう嫌いだったな。たしか、蜘蛛を持った女の子に追い回されているのを助けた」
　記憶を掘り起こしながらも大橋は弁当の中のマメを追い回す。
　小岩井は腕を組み
　「親の話によると、産まれてすぐから嫌いだったらしい。乳幼児ベットのすぐ横を蜘蛛が歩いていて大泣きしていたらしいからな」
と言ってふんぞり返る。
「自慢そうに言う事じゃないよ」
　呆れと共に大橋は、小岩井の弁当箱に自分の弁当の豆をほりこんだ。
　菓子パンをたいらげた小池は思い出した様に、手をぽんと合わせる。