前世からのメッセージ【迷信ナあれこれ】
 「ちょちょちょ、ちょっと待ってくれよ! 何がどうして、そうなった訳?」
 慌てる小岩井に対して歌舞伎沢兄妹は交互に喋りだす。
 「つまりですね」「小岩井くんが蜘蛛嫌いになった理由は」「小岩井くんの前世が蜘蛛に殺されている」「からなのですよ」「じゃあ」「前世まで行って」「蜘蛛に殺されるのを阻止すれば」「蜘蛛嫌いが直ってしまうんじゃない?」「という話」
 その説明を聞いて小池だけは「おおー」と目を輝かせたが、当事者である小岩井はこっそりと屋上から逃げ出そうとしていた。
 大橋はそれを捕まえると「いい機会じゃないか。直して貰えよ」という言葉と共に歌舞伎沢兄妹の前に小岩井を突き出す。
 何一つ変わらない笑顔の歌舞伎沢兄妹。
 「保護者の許可も取れた訳だし、一発ドカンといってみよー」
 その発言と同時に歌舞伎沢妹は目にも止まらぬ速さで小岩井の腹に拳骨を叩き込む。
 小岩井は朦朧とする意識の中で一つの事だけを言い残した。

 「大橋は俺の保護者じゃねぇ……ぞ……」
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