前世からのメッセージ【迷信ナあれこれ】
小岩井がハッと意識を取り戻すと、そこは全く見た事の無い場所。
「ここは何処なんだ!?」
小岩井が叫ぶとすぐに後ろから何だか聞いた事のある様な声がした。
「いやー蜘蛛に殺されたんだから、どっかの秘境かと思っていたんだけど、意外と普通の村だね」
戸惑いながら小岩井が振り向くと、そこには真っ黒なローブに身を包んで、エル字の鉄の棒を持った歌舞伎沢兄が……
「黒っ!!何そのカッコ!」
歌舞伎沢兄はそんな小岩井のツッコミを無視して、自分の手元に注目していた。
歌舞伎沢兄が持っているのはダウジングロッドという代物だ。
「金でも掘り当てるのか?」
またもや小岩井の発言を歌舞伎沢兄は無視して、枯れ木の方に歩き出す。
「あっ、俺、なんとなくそっちの方行きたくない」
小岩井の発言を聞くと
「じゃあ、こっちで間違いない」
と歌舞伎沢兄はふっと笑みを零し、小岩井を引っ張っる。
そして、枯れ木の根元には一人の少年が力なく横たわっていた。かろうじて生きていると言う感じだ。
小岩井は直感した。
『そうか、俺の最後はこうやって弱っている所を蜘蛛に最後の生き血を呑まれて死んだんだ……』
そんな事を思い、クッと小岩井が口を塞いでいると歌舞伎沢兄が
「人間の致死量程の血を吸う蜘蛛って一体どんなサイズよ…」
とツッコミを入れる。
すべて心の中で話を展開していた小岩井はかなり焦った。
枯れ木に近づくと、木には大きな蜘蛛の巣が張っている。
「うわっ、俺はこれ以上近づかないからな!!」
とても嫌な予感がしている小岩井は、歌舞伎沢兄の後ろに隠れた