前世からのメッセージ【迷信ナあれこれ】
呆れて溜め息を吐く歌舞伎沢兄。そんな彼の前を一匹の蚊が通り過ぎる。そして、その蚊はそのまま小岩井に止まろうと近づいて来た。
――パン
軽快な音を立てて小岩井は蚊をしとめる。
「おっ、みてみてー蚊殺せたー」
小岩井は手の中でペタンコになった蚊を、歌舞伎沢兄に嬉しそうに見せた。
しかし、歌舞伎沢兄はどうやら瞑想しているようで「ちょっと待って」と言うだけで小岩井を見てくれない。
手元のロッドはなんだか先ほどからグラグラと揺れている。
小岩井が歌舞伎沢兄の顔を覗き込んでいると、唐突に歌舞伎沢兄はカッと目を見開いて「見えた!」と叫ぶ。
「ズバリ! 小岩井くん! 君の前世は昆虫だったようですね。 そして、あの巣に引っかかって、蜘蛛に捕食されて死にました。だから、君は蜘蛛嫌いになったのです!その昆虫は側にいるはずなんだけど――」
歌舞伎沢兄はそこまで言うと段々と言葉を濁していく。
手元のロッドは小岩井の手の辺りで命一杯開いている。
「小岩井君。なんか、殺した?」
歌舞伎沢兄はそう言いながら小岩井の掌をジッと見つめた。
「蚊を……一匹仕留めたけ、ど?」
小岩井がそういうと、歌舞伎沢兄は「ああー」と口から声を零しつつ蜘蛛の巣を指差して
「小岩井くん。あれ怖い?」
と尋ねる。
「なんで蜘蛛の巣なんて恐がらなきゃいけないの?」
ぽかんとする小岩井を見て、歌舞伎沢兄は眉間を押さえてから「撤収!」と叫んだ。
――パン
軽快な音を立てて小岩井は蚊をしとめる。
「おっ、みてみてー蚊殺せたー」
小岩井は手の中でペタンコになった蚊を、歌舞伎沢兄に嬉しそうに見せた。
しかし、歌舞伎沢兄はどうやら瞑想しているようで「ちょっと待って」と言うだけで小岩井を見てくれない。
手元のロッドはなんだか先ほどからグラグラと揺れている。
小岩井が歌舞伎沢兄の顔を覗き込んでいると、唐突に歌舞伎沢兄はカッと目を見開いて「見えた!」と叫ぶ。
「ズバリ! 小岩井くん! 君の前世は昆虫だったようですね。 そして、あの巣に引っかかって、蜘蛛に捕食されて死にました。だから、君は蜘蛛嫌いになったのです!その昆虫は側にいるはずなんだけど――」
歌舞伎沢兄はそこまで言うと段々と言葉を濁していく。
手元のロッドは小岩井の手の辺りで命一杯開いている。
「小岩井君。なんか、殺した?」
歌舞伎沢兄はそう言いながら小岩井の掌をジッと見つめた。
「蚊を……一匹仕留めたけ、ど?」
小岩井がそういうと、歌舞伎沢兄は「ああー」と口から声を零しつつ蜘蛛の巣を指差して
「小岩井くん。あれ怖い?」
と尋ねる。
「なんで蜘蛛の巣なんて恐がらなきゃいけないの?」
ぽかんとする小岩井を見て、歌舞伎沢兄は眉間を押さえてから「撤収!」と叫んだ。