LOVELY☆ドロップ
「ふっ…………」
ズキン、ズキンと痛むのは、あたしの心と赤ちゃんがいるお腹だ。
「も、さいあく……」
絶望へと追いこまれたあたしは、また泣きはじめた。
全身が悲しみで冷たくなっていくのがわかる……。
体が冷えきって、死んでしまうんじゃないかというくらい寒い――……。
絶望という黒いものがあたしを覆った、その時だった。
ふいに冷え切ったあたしの体が熱を持った力強い腕に包まれた。
それはあまりにも突然で、とてもびっくりしたから、目から流れ続ける滝のような涙は引っこんだ。
それと同時に、言葉ではとても言いあらわせないほどの恐怖が襲ってきたんだ。
『それ』はあたしの背後から両手を巻きつけ、体を動けないように縛ってくる。
――ああ、どうしよう。
家に戻った時、鍵をかけなかったから泥棒か変出者が入って来たのかもしれない。
そういえば、回覧板では空き巣に注意と書かれていた。
ここは夜と朝方は極端に人通りが少なく、人々の喧騒とは無縁の場所だった。ひったくりや変出者がよく出没するらしい。
もしかして、あたし……殺されちゃうの?
だってあたし、赤ちゃんの顔だって見てないんだよ?
そんなのいやだ。
そりゃ、死にたいって思ったけれど、あれはそれくらいの苦しみがあるっていうだけで、本当に死にたかったわけじゃない。
心から本当にそう思うなら、あたしはもうとっくにこの世にはいない。