LOVELY☆ドロップ

そのまま真っ直ぐ進めば、緩やかにカーブする一方通行の道路があり、大きなデパートが佇(タタズ)む。

そのデパートに沿うようにして車を右折すると、そこは2車線の小さめの道路がある。

そのまま進行方向に沿って真っ直ぐ進めば、ほどなくして一角に3階建てになっている細長いビルが見える。

そのビルすべてが、金山が経営しているアイオンプロダクションだ。



ぼくはいつものようにアイオンプロダクションが契約している後ろの路地にあるガレージに車を駐車し、ビルの中へと進む。


そこで見えるのは、斑紋(ハンモン)で白地の大理石でできている円状に広がった気品あふれる玄関ホールだ。

その中心には背が高い観葉植物が植えてある。

広々としたスペースとその植物のおかげで息苦しさはない。


そして右隣のカウンターで座っている女性がここの受付係だ。

受付カウンターの奥をさらに入れば、小さいがとても立派な写真館がある。

この写真館の存在でぼくたちカメラマンの顔が様々なモデルや雑誌の出版社に売れていく。


もちろん、ぼくが撮影した写真なんかもここに飾らせてもらっている。

そのおかげで他の企業からも依頼はほぼ毎日のようにいただけるから、食いっぱぐれずにすんでいる。


そんなぼくの目標は、企業絡みではなく、いつか大きなところで個展をひらくことだ。


――ねぇ、沙良。

君が生きていたら、この夢は愚かだと思うかい?

子供がいるというのに、自分の夢を捨てきれないぼくを君は笑うかな?


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