LOVELY☆ドロップ
そういうことであたしは今、祈ちゃんの話し相手と身の回りのお世話を任されている。
そんなあたしの日常は、会社勤めをしていた頃では考えられないくらいとても家庭的になったと思う。
会社に勤めていた頃は、起きる時間はまちまちで、遅くて朝7時30分っていう、会社がはじまるかなりギリギリの時間まで寝てた気がする。
おかげで朝食を摂る時間すらなく、紅茶で誤魔化して出勤していた。
そんなあたしが、今や赤の他人である家の調理場を仕切っている。
過去のあたしなら考えられない出来事だ。
でも、あたしがこうなるのは当然といえば当然なのかもしれない。
だってね、ここの冷蔵庫。
野菜も置いているけれど、それでも冷凍食品の方が割合に高くて、冷蔵庫の面積を占めていた。
そりゃね、あたしたち大人はいい。
もう成長期は終わったし、これ以上背も伸びないだろうから。
でも、祈ちゃんは5歳。
5歳っていうと、ちょうど成長期に突入する頃だ。
冷凍食品っていう何の栄養もないものを小さな子供に食べさせるのはかなり危険だ。
まかり間違えば身長は伸びないまま止まっちゃうかもしれないし、なにより健康に悪い。
成長不足で今後、何らかの形で体に影響を与える可能性だってある。
そういうこともあって、あたしは台所に立つ義務を買って出た。
そして今日は祈ちゃんとお留守番。