LOVELY☆ドロップ

背もあたしと同じくらいで、体型もすらりとしていてとても若々しい。

服装だって今の時期に相応しい、青緑色の生地に花が散りばめられた華やかな七分袖のワンピースに、底が低いヒールを履いている。

目が大きくて、すっと伸びた鼻。

その顔はどことなく潤さんに似ている気がする。


姿だけでも彼女がどんな人物かがよくわかる。

茶目っ気があって、とても穏やかで明るくて優しそうな人だった。


「潤の母親の端月(ハヅキ)です」

――あ、やっぱり潤さんのお母さんだったんだ。


第一印象と同じはっきりとした滑舌(カツゼツ)で話す彼女の言葉で内心うなずいてしまった。

どうやら端月さんはあたしの存在を知っていたらしい。

あたしの姿を見ても驚きもしないで「潤がいつもお世話になっています」と声をかけてくれた。



お世話になっているのはむしろあたしの方だ。

あたしはブンブンと首を頭を横に振り、ここで話しをするのも失礼だと、端月さんに上がってもらうよう勧めた。


そんな端月さんはまだ昼食を摂っていないらしい。

買い物のついでに近くを通り、この家の様子が気になったとのことだった。

潤さんのお父さんは近所に住む人とゴルフに出かけたらしく、今日はひとりで食事をするとのことで、だったらと、あたしは一緒に食事をしようと台所の4人掛けテーブルに招いた。


そのテーブルの上にはチャーハンと今朝の残り物のお味噌汁がそれぞれ3人分乗っている。


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