LOVELY☆ドロップ
その姿はまるで、さまよえる魂の行き先を決断する閻魔(エンマ)大王のようにも見える。
「……面目ない」
最近の子供ってどうしてこうも口が達者なのだろうか。
いったいどこでそんな言葉を覚えてくるのかとても不思議だ。
ぼくにお小言を言ってのける祈は今や小姑となんら変わらない。
そんなぼくが祈に謝ることしかできないのは、フリーカメラマンとして仕事をもらっているからだ。
ぼくがほぼ毎日、風景やらモデルの撮影やらに明け暮れている間、幼稚園が休みの日はぼくの実家に預けて両親に祈の面倒を見てもらっていた。
ぼくが祈にしてあげられることといえば、冷凍食品の具材を弁当に突っ込み、朝と夕方の送り迎え。
あとは洗濯や夕食の用意などといったことだけで、気がつけばそれで1日がほぼ終わる状態だった。
彼女のことはほとんど手放し状態だ。
そんなぼくは今日という日曜日、久しぶりに仕事がオフになり、たまには外食をと思い、やって来たデパート先でのまさかの出来事。
今日に限ってこんな天気になっているとは思ってもいなかった……。
………傘、買わなきゃな。
――いや、でもこの大雨だ。
傘も意味がないかもしれない。
こうして屋根の下にいるというのに、風が強くて雨が槍のように向かって降ってくる。
ぼくの足元からスネのあたりまではすでに風に乗って吹いてくる雨で濡れている。