LOVELY☆ドロップ
彼との一件は、ぼくには全部打ち明けてくれたと思っていた……。
彼女にとって、ぼくは言うに値しない存在だとそういうのか?
いや、そうとは言い切れないだろう。
美樹ちゃん自身がまだ赤ん坊がお腹の中にいることに気がついていない可能性だってある。
だが、あの茶封筒の中にあった分厚い紙幣(シヘイ)。
あれは手切れ金にしては恐ろしく大きな額ではなかっただろうか。
――やはり、彼女は自分のお腹の中に赤ちゃんがいることに気づいている可能性が高い。
そう思うと、ぼくの心の奥底でチリチリと炎がくすぶるのがわかった。
ぼくは無意識のまま母さんとの通話を切ると、またモデルを呼んで無感情のままシャッターを切り続けた。
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「どうして言わなかったんだ!?」
仕事を終え、無事帰宅したぼくは祈(イノリ)が寝た頃を見計らい、台所で食器を片付けている美樹ちゃんに問うた。
内容はもちろん彼女のお腹にいる子供のことだ。
「なにが……ですか?」
その美樹ちゃんは、ぼくが話す内容に少しは心当たりがあるのだろう。
食器を洗う手が一瞬止まったことをぼくは見逃さない。
「しらばっくれなくてもいい。子供、いるんだろう? 慶介とかいう奴の子供が!! 君のお腹の中に!!」
今度こそ、美樹ちゃんの体がビクンと大きく震えた。
――ああ、やはり彼女は自分が身ごもっていることを知っている。