LOVELY☆ドロップ
年齢は幼稚園か小学1年生かくらいかな。
肩まである茶色い髪にふっくらとした頬。
真ん中にある小さなちょこんと乗った鼻。
それに対して目はまん丸でとても大きい。
あたしを見つめる澄(ス)んだ目はお星様みたいにキラキラと輝いている。
そんな愛らしい女の子が着ているピンク色のワンピースは、あたしと同じ状況だ。
この空から降る雨水を含んでいて、ぐっしょりと濡れている。
あたしのお腹にいる赤ちゃんもこんなふうにキラキラ輝かせた瞳で明るく元気に育ってほしい。
中絶なんてしたくない。
あたしと同じ世界で一緒に生きてほしい。
父親はいないけど、あたしだってお母さんになりたい。
そう思うと、せっかく止まっていた涙がまたあふれてくる。
目頭が熱を帯び、視界がかすむ。
「おねいちゃん?」
あふれ出る感情が涙になり、うずくまるあたしを見る女の子は大きな目をさらに大きくあけて、心配してくれる。
この子はとても優しい子だ。
この子のお父さんとお母さんは計り知れない愛情をそそいでいるんだろうことがよくわかる。
あたしだって、お腹にいるこの子にそうしてあげたい。
たくさん怒って、たくさん泣いて、それに負けないくらいたくさんたくさん笑い合って過ごしていきたい。
……ごめんね、あたしの赤ちゃん。
お父さん、いなくなっちゃった。
この女の子みたいに、幸せな家庭はあたしじゃできないかもしれない。