LOVELY☆ドロップ
そこで、ぼくは我が家にも、もうひとり女性がいたことに気づかされた。
それはそれは、とてつもなく、おしとやかな女性が……。
持っていた沙良の服を祈が奪ったことから察するに、どうやら彼女が着替えさせてくれるらしい。
ぼくはバスタオルに包まれている濡れたままの彼女を横抱きにすると、祈とぼくの寝室へと移動した。
その後を、細い両腕にグルグルと巻きつけた沙良の服を持った祈が続く。
――ああ。
彼女はとてつもなくぐったりとしている。
早く着替えさせなくてはならない。
ぼくよりも頭一個分は低いだろう、すっぽりと腕の中に閉じ込められている彼女を見る。
華奢な体は少し力を入れただけで折れてしまうんじゃないかというくらい細い。
目から伝う雫は雨によるものだろうか。泣いているようにも見える。
閉ざされた大きい目の窪みと熱があるせいかもしれないが、どこか顔には影が落ちているような気がする。
細い体をした彼女はとても柔らかい。
きっとどこもかしこも柔らかいんだろうな……って、ぼくは変態かっ!!
ぼくの腕に体を預ける彼女を見ると、これまですっかり消え失せていた欲望が押し寄せてきたのがわかった。
ぼくはおかしな考えを持つ自分を叱咤すると頭を振り、そのことを頭から追い出した。
――玄関から向かって左右に伸びている伸びた廊下の右方向へ進む、その先にあるのは木目調の片手扉だ。