LOVELY☆ドロップ

ぼくは目の前にある片手扉に向かって深いため息をつくと、仕方なく洗面所で服を着替えに取りかかった。

とはいえ、やはり祈と彼女がいる寝室が心配だ。

なにせ祈はまだ5歳だ。

はたして自分よりも背が高い彼女の面倒を見ることができるのか……。


――ああ、ものすごく心配だ。



着替えもそこそこに、ぼくは急いで寝室の部屋の前に立った。


どれくらい、いたたまれない気持ちで閉め出しをくらっていただろう。

それはとてつもなく長い時間のように思えた。

部屋の中の空気をなんとか知りたくて、ぼくは、シン、と静まり返った部屋に耳を澄ます。


すると突然、何かが高いところから落ちる音が聞こえた。


「祈!!」

ぼくは慌てて祈と女性がいる部屋の扉に手をかけた。


扉を少し開けると――……。


「……いたた、……ってパパ!! はいってきちゃダメ!!」


どうやらさっきの大きな音は祈が尻餅を打ったものによる音だったらしい。

自分の腰をさすっている祈の姿が見えた。


――かと思えば、すぐに起き上がり、彼女は扉を押さえる。

ぼくが部屋の中に入ることを拒んだ。



「………………」


……祈に怒られてしまった。


「祈、だけど痛くないかい!?」

打ったお尻は大丈夫だろうか。

青あざになったりしないかと、ぼくは祈を案じて閉じた扉越しから声をかける。


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