LOVELY☆ドロップ
「だいじょうぶ!! いたいの、ちょっとこけただけ。おねいちゃんも、だいじょうぶだから」
扉から聞こえる元気な声にほっとして、ぼくは胸を撫(ナ)で下ろした。
それからぼくは腕にはめた時計と、廊下の左側を進んだ台所の壁に掛けてある丸い時計を交互に見る。
ハラハラしながら待つこと10分。
扉は静かに開いた。
「できたよ」
祈は小さな胸を仰け反らせ立っていた。
腰に両手を当てて自分を褒め称える。
どうやらほんとうに大丈夫だったらしい。
祈が尻餅を打ったこと以外無傷だったことにとりあえず一安心した。
「……そうか、ありがとうな」
よくやったと祈を褒め、頭を撫でてやれば、「イノ、おねいちゃんだもん」と満面の笑みを浮かべて誇らしげにそう言った。
ぼくは祈に、にっこりと微笑み返すと、眠っているだろう女性の元へ足を運んだ。
ふたつの敷布団の上に横たわっている彼女は、沙良が着ていた桃色のワンピースもきちんと着こなしていた。
……ただし、ボタンがチグハグにとめられている以外は、たが……。
まあ、祈にしてはよくやったので、これは言わずにおいてあげよう。
ぼくは敷布団に対して斜めになって横になっている彼女を抱きあげると、敷布団と平行にしてそっと寝かせる。
「う…………ん」
その直後、女性は苦しそうに声をあげた。
「パパ……」
祈はぼくの隣に座り、眉をハの字にしてぼくを見上げてくる。