LOVELY☆ドロップ
祈の、こんな心から嬉しそうな表情は久しぶりに見た。
それはつまり、ぼくに心配をかけまいと祈なりに頑張って笑顔をつくっていたということだろう。
こんな小さな体で……。
ぼくに心配をかけまいと笑顔を振りまき、寂しいという思いを我慢してきたのかもしれない。
それを実感すると、胸がつまる思いがした。
「ねぇねぇ、おねいちゃん!! イノね、イノがね、おねいちゃんのおようふくきがえさせたの!!
すっごいでしょ?」
祈は今にも泣きそうな顔をしている彼女へと体を寄せ、誇らしげにそう言った。
その言葉に固まったのは、もちろんぼくを平手打ちをした彼女だ。
何をどう勘違いしたのかはまったくわからないが、彼女はとても混乱しているようだ。
整った眉をハの字にしてぼくと祈を何度も交互に見る。
――なんだろうか。
戸惑っている彼女がとても可愛い。
その表情はとても彼女らしいと、彼女のことを知りもしないのになぜかそう思える。
それを意識したとたん、ぼくの胸にあたたかな感情がこみ上げてきたのを感じた。
叩かれたという怒りは跡形もなく忘れ去り、ぼくの口元はゆるんだ。