LOVELY☆ドロップ
ごめんなさい。
side:Miki Morimoto
「あのね、あのね!! イノがね、おねいちゃんのおきがえしたんだよ?」
大きな目をキラキラと輝かせ、女の子は自慢げにそう言った。
そっか……うん。
イノちゃんがあたしのお着替えをしてくれたんだ。
あたしは、胸の前で両手を拳にして嬉しそうに話す女の子に、うん、うん、と心の中でうなずいた。
すると、何かとんでもないことをこの女の子から告げられた気がして、全身からさあっと血の気が引いていく……。
――だって……だってね?
てっきりあたしの着替えをしたのは女の子のお父さん――つまりは黒髪で背が高くてカッコいいこの男の人だと思った。
いくら家庭を持っていたとしても異性には違いないその人に、会って間もないその人に下着姿やら裸を見られたと思ったんだ。
だから男の人を引っぱたき、『痴漢』呼ばわりした。
でも、でも実際は違ってて……。
女の子の言葉が正しければ、あたしはとても大きな間違いをしたということになる。
どうしよう!!
男の人は身に覚えがないことで突然引っぱたかれ、『痴漢』呼ばわりされたんだ。
そりゃ、とても怒るだろう。現にびっくりするくらい大きな声で怒鳴った。
あたしにも恐怖を覚えさせるほどの声で――……。
なにせあたしは我が家では一人娘で、父親から怒鳴られたことなんて一度もない。
異性に怒られ慣れしていないから、他人に大声を出され、怖いと思った。
それくらい、男の人はものすごく怒っているんだ。