LOVELY☆ドロップ
祈ちゃんは仰向けになっているあたしの顔を覗きこむ。
その必死な姿に嬉しくなった。
「うん、祈ちゃんがいてくれると嬉しいな」
あたしがうなずけば、祈ちゃんは「ほら!!」と胸を張って答えた。
だけど、潤さんはあたしの言葉を真に受けていないみたい。
遠慮しているんだと思ったらしかった。
その証拠に、眉はつり上がり、祈ちゃんにワガママはダメだとそういう視線を送っている。
「祈…………」
「ヤだヤだヤだ!! イノもねるの、おねいちゃんといっしょがいい!!」
祈ちゃんはあたしの体に腕を巻きつけ、必死にしがみついてくる。
祈ちゃんと潤さんはにらみ合い、互いに一歩も引かない。
なんだろう。
この沈黙、とてもおかしい。
あたしは、っていうと……。
お腹の底からこみ上げてくる笑いをこらえるのに必死だった。
だって、ふたりとも今の姿がとても似てるんだもん。
やっぱり親子なんだなって実感する。
おかげであたしは自分の意見を言うこともできず、場違いな空気を出さずにいることで精いっぱいだ。
そうして奇妙な長い沈黙が周囲を包む中、祈ちゃんと潤さんのにらみ合いはなおも続く中――。
こみ上げてくる笑いをこらえながら、あたしはふたたび口をひらいた。
「あの、潤さん。あたし祈ちゃんと寝たいです」
本心を伝えると、潤さんは目を丸くして見つめ返してきた。