LOVELY☆ドロップ

『信じられない』

けっして口には出さないけれど、潤さんの心の声が聞こえてくる。


どうして信じられないと思うのだろう?

だって、祈ちゃんはこんなに可愛いのに……。


「潤さん、あたしが祈ちゃんと一緒にいたいっていうのは本心ですよ?」

そう言うと、あたしに抱きつく祈ちゃんの腕に力が入った。

「おねいちゃん、イノといたいって。ね、パパ、いいでしょ?」


もう一度、祈ちゃんも伝えると――。



「…………祈……ご飯を食べた後は……どうするんだっけ?」

潤さんは深いため息をついた。

そして、布団の上で横になっている祈ちゃんに顔を近づけ、そう言った。

祈ちゃんは潤さんが何を言いたいのか察知したみたい。


唸(ウナ)りながら、潤さんを睨(ニラ)んでいる。


「歯磨き、しなさい。それが嫌なら、今夜は祈だけ別の部屋だ!! ぼくはお姉ちゃんと一緒に寝るかな~」

――え?


…………ドクン。



『一緒に寝るかな』

潤さんの言葉であたしの心臓が跳ねる。



いや、違う。

潤さんはそんな意味で言ったんじゃない。

『それ』は祈ちゃんに歯磨きをさせるための言葉のアヤであって、心からそう思っているんじゃない。

そう思っても、あたしの心臓の鼓動はけっして静かになってくれなかった。


…………どうしよう。

あたし……今、ものすごく顔、真っ赤じゃない?


「ヤだヤだ!! イノもおねいちゃんとパパとねるもん!!」


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