LOVELY☆ドロップ

だいたい、美樹ちゃんは魅力的すぎる。

誤りは認め、真っ直ぐで優しくて、ワガママを言う子供の祈にも短気を起こさず、理解できるまでとことん話し合う。

その性格も、可愛らしい容姿も、ぼくの理想ストライクゾーンまっしぐらだ。


美樹ちゃんが眠っている今だって、祈が隣にいなければ、ぼくはきっと彼女に手を出していたことだろう。

そう考えれば考えるほど、自分で自分が恐ろしくなる。



恐ろしいといえば、熱が下がった後の彼女も表情もどこか恐れを抱くような尋常(ジンジョウ)ではない何かがあった。

時折、祈と笑って話している間でさえも彼女の大きな瞳は悲しみに揺らいでいたっけ……。


……まるで、世界中にひとりだけ取り残されたような、そんな絶望的な顔だった。



それは昨日、夕飯を食べ終えた後、祈と彼女は子供部屋でふたり仲良く遊んでいた時、カバンを開けた彼女の表情が真っ青になったと祈は言っていた。



――カバンの中に何かやましい物でも入れているのだろうか。


雨の中にうずくまっていた理由も――――。

時折、ふと気がついたときに見せる悲しい表情も――――。


彼女の謎を解く鍵はカバンの中にあるのだろうか。


ぼくはそっと体を起こし、罪悪感を抱きながらも寝室よりも少し広めの台所へと移動した。


目指すは彼女が持っていた小さなカバンだ。


泥棒みたいに他人のものをコソコソと探るのはけっして褒められた行為ではないことは十分知っている。


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