短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~

振り返れば雪音が、荷物の山の中で三つ指ついて正座している。

「どうした、急に改まって」

「『赤の他人』の私なんかに、こんなに援助していただいて申し訳ありません」

口では謝っているが、雪音の顔は明らかに拗ねていた。
拗ねたというより、悲しいという方が合っているかもしれない。

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