短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~

代わりのつもりなのか、夫は時々、ささやかな贈り物を私にくれる。
贈り物といっても、リボンがかけられているようなおしゃれなプレゼントではない。
恐らく、そんな演出すら彼にとっては大それたことなのだろう。

そして、私のために買ったのではないような言い訳を、いちいち考えてくる。

「会社でもらったから」

「安くなってた」

「つきあいで買わされた」

などなど。

そんな言い訳を考えるより、

「君にプレゼント」

と言った方がよっぽど簡単なのだけど。

< 171 / 210 >

この作品をシェア

pagetop